2015年11月19日木曜日

わたしたちの意見陳述書

11月13日に申立人が裁判所に提出しました意見陳述書をアップしました。
ひとり分がけっこう長いので、毎日ひとりずつの掲載となります。

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兵庫県神戸市北区に在住しております。松本なみほです。意見陳述をさせていただきます。

 

このたび私は申立人として名を連ねていますが、真の申立人は子どもたち世代であると考えます。なぜなら、原発事故が起きたときに重大な被害をこうむるのは子どもたちだからです。電力会社から供給されたエネルギーの恩恵を得る期間は短いのに、被曝による健康被害と不安は一生つきまとう。そのうえ、被災者への補償、事故収束にかかわる作業、費用、税金など、あらゆる負の遺産が未来世代にふりかかることになります。

 

兵庫県議会議員、丸尾まき氏が2013年に行った政務調査によると、兵庫県内居住者の子ども8名(内福島県からの避難者3名)の尿に含まれる放射性物質の検査をしたところ、福島からの避難者から、セシウム1370.051Bq/kg、兵庫県内居住者2名から0.047Bq/kg0.044Bq/kgが検出されました。

(http://maruomaki.asablo.jp/blog/2014/06/09/7340610より)兵庫県を出て暮らしたことのない子どもたちの体から、微量であっても放射性物質が検出されていることに衝撃を受けました。

 

福島県の18歳以下の子ども約37万人を対象とした小児甲状腺検査で、小児甲状腺がんの悪性ないし悪性疑いとされた子供が合計127人発生しています。127人の子どもたちはもちろんのこと、37万人の子どもやその保護者が日々不安を抱え日々を過ごしていることを考えると、いたたまれない気持ちと共に、決して原発事故を繰り返してはいけないと考えます。

 

水俣病をはじめ、公害病や化学物質汚染による健康被害の因果関係の判定には大規模かつ長期間の調査が必要となり、判定が出るころには被害者の健康はすでに損なわれている、という悲劇的な現実があります。こうした原因特定、影響予測が困難な事象に対して、私たち人間は「予防原則」をもって望むべきだと思います。

 

1995年、阪神淡路大震災が起こったとき、私は余震の恐怖に足がすくみ数時間家の中で呆然としていました。巨大地震が起きると、どこで誰がどのような被害を受けているかが分からない。分かったとしても伝える通信手段が機能しない。通信ができても道路や鉄道が寸断され、救助に迎えない。救助者自身が被災している。こうした問題が何重にも重なり、行政は一瞬にして対応能力が限界に達してしまいました。東日本大震災では、巨大な津波が押し寄せ、想像を絶する事態になっていたことと思われます。このような巨大地震を止めることは勿論、予測することさえできないのが私たち人間の能力の状況です。

 

しかし、原発事故を予防するために、原発の再稼働を止めることは可能です。

695日間もの間、原発が一基も動くことなく電気エネルギーは安定供給されました。今年の夏、関西電力は黒字となり、財務状況は原発の再稼働に左右されるのではなく、原油とLNGの輸入価格による影響だということが証明されました。20127月から始まった再生可能エネルギー固定買取価格制度によって、日本における再生可能エネルギーの発電容量は急増し、2014年度の国全体の発電電力量のうち再生可能エネルギーの比率は12.2%になり、石油火力の10.6%を超えています。

 
地震活動期に入った日本において、人びとの健康と命、国土、未来世代の存続を危ぶむ原発事故を予防するための法的判断をしていただきますようよろしくお願いいたします。  

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